「建設業を始めたばかりだけど、許可って必要なの?」「ウチの会社は許可を取らないといけないの?」
建設業を営む個人事業主様や中小企業の経営者様の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。特に、手続きの手間やコストを考えると、「本当に必要?」と迷ってしまいますよね。
実は、すべての建設業者に許可が義務付けられているわけではありません。
この記事では、建設業許可が【必要なケース】と【不要なケース】の違い、そしてご自身の事業に許可が必要かを判断するポイントをわかりやすく解説します。許可が必要か迷った場合の相談先や注意点についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
建設業許可が必要になる基準とは?
建設業を営むにあたり、発注者様を保護するため、原則として国や都道府県から許可を受けることになっています。しかし、すべての建設業者様に許可が必須というわけではありません。
建設業許可が必要かどうかを判断する**最大のポイントは、「請け負う工事の金額」**です。
■ 1件の工事につき500万円(税込)以上の場合は許可が必要
以下のいずれかに該当する場合、建設業許可が必要になります。
- 建築一式工事: 1件の工事の請負金額が1,500万円以上(税込) または 延べ面積150㎡以上の木造住宅
- その他の工事: 1件の請負金額が500万円以上(税込)
この「500万円」は、材料費を含む総額で判断されます。
■ 500万円未満の工事のみを行う場合は許可不要
上記の金額未満の工事しか行わない場合は、建設業許可は不要です。
例えば、リフォーム業者様やエアコン取付業者様などで、少額工事に限定している場合は、許可がなくても事業を行うことができます。
許可が「必要になる可能性が高い」業者の特徴
現状では許可が不要でも、以下のような業者様は将来的に許可が必要になる可能性があります。
- 元請け様からの依頼が多く、500万円を超える工事の見積りを求められる
- 公共工事への入札や元請業者様との安定した取引を希望している
- 工事件数や規模が年々拡大している
このような場合は、今後の事業展開を見据え、早めに建設業許可の取得を検討することが重要です。
建設業許可を取得するメリット
許可を取得することで、以下のような大きなメリットがあります。
- 元請業者様や大手企業様との取引が可能になる
- 社会的信用が向上し、受注拡大につながる
- 公共工事への入札資格が得られる
- 融資や補助金の申請で有利になる
長期的に建設業を営む予定がある場合、許可取得は事業を安定させ、さらなる成長を後押しする大きなステップとなります。
許可が不要なケースでも注意が必要なこと
許可が必要な条件に当てはまらない、いわゆる「軽微な建設工事」に該当する場合は、原則として許可は不要です。
【許可が不要なケース】
1件の工事につき500万円(税込)未満の場合
ただし、許可が不要な小規模工事だけを行う場合でも、いくつか注意しておきたい点があります。
- 工事を分割して請け負う場合: 工事を細かく分割して請け負ったとしても、全体を1つの工事とみなし、合計金額で判断されます。許可を不要とするための不当な分割とみなされないよう注意が必要です。
- 注文者様が原材料を提供する場合: 注文者様が原材料を提供している場合、その価格と運送費を請負契約の代金に加算して判断されます。
- 下請け業者として許可業者に求められる場合がある: 発注元の許可業者によっては、下請け業者にも建設業許可を求めるケースがあります。
- 契約時のトラブル回避: トラブルを避けるため、見積りや請求書には詳細な明細を明記するようにしましょう。
- 無許可工事の罰則: 無許可で500万円以上の工事を請け負った場合は違法となり、罰則の対象になります。「うっかり500万円を超えてしまった」「材料費が予想以上にかさんで金額を超えた」といったケースもあるため、事前にしっかり確認しておく必要があります。
建設業許可が不要でも、他の法律で届出・登録が必要な場合も
建設業許可が不要な軽微な工事のみを行う場合でも、工事の種類によっては別の法律に基づき、別途届出や登録が必要になることがあります。主な例としては、以下の工事が挙げられます。
- 浄化槽工事業: 浄化槽の設置や保守を行う場合、浄化槽工事業の登録が必要です。
- 解体工事業: 建築物等の解体工事を行う場合、建設リサイクル法に基づく登録が必要です。
- 電気工事業: 電気工事を行う場合、電気工事業の登録(建設業許可を受けている場合は通知)が必要です。
これらの工事を行う場合は、建設業許可とは別に必要な手続きがないか、事前に必ず確認しましょう。
許可が必要かどうか迷ったら、専門家に相談を
建設業許可が必要かどうかの判断は、金額だけでなく、工事内容や契約形態によっても異なる場合があります。
特に個人事業主様や中小企業様の場合、「これは許可が必要になるの?」という微妙なラインの工事も多いため、不安があれば専門家に相談するのが安心です。
行政書士は建設業許可に関する相談・申請の専門家です。初回相談無料で対応している事務所もございますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ:建設業許可が必要かどうかは「金額」で判断
区分 | 許可が必要になる基準 |
建築一式工事 | 1,500万円以上(税込)または延べ面積150㎡以上の木造住宅 |
その他工事 | 500万円以上(税込) |
工事金額がこれを超える場合、建設業許可の取得が義務付けられます。逆に、これを下回る場合は原則として許可不要です。
ただし、長期的な取引や会社の成長を考えると、許可を取得しておくことが有利に働くケースが多いのも事実です。ご自身の事業で許可が必要かどうか判断が難しい場合は、ぜひ私たちグロース行政書士事務所にご相談ください。